よろこびをたがやす - ともに、ろうを生きる、ながいながい物語 -
その1 おわり、そしてはじまる
修士論文を書き終えてから、気付けば4年が経ってしまった。その間にいろいろなことがあった。
『さんさん山城』そのものがなくなった。『さんさん山城』で働いていた利用者の方々のうち、さまざまな理由から辞めた方も少なくない。亡くなった方も数名おられる。
仕事の忙しさにかまけて、文章の改訂及び公開に向けた作業が遅々として進まなかった。間に合わなかったという、取り返しのつかなさに、申し訳ない気持ちでいっぱいである。この場をお借りしてお詫び申し上げます。ようやく、である。
もうなくなってしまった事業所のことを書いてどうするんだ?と思われる方もいるかもしれない。けれども『さんさん山城』は『さんさんグリーン』として形を変えて今も続いている。もとはと言えば、『さんさん山城』が始まる前にも別の形があり、その前にも別の形があり、その前にも別の形があり———。
形は変われども連綿と続く変わらないものがあり、その活動が展開してきていると言った方が正確かもしれない。
そもそも『さんさん山城』自体、彼らの長い長い活動から見れば、ほんの一幕に過ぎない。
大事なことは活動の名称ではなく、その内実である。だから、本文の記述の中心は『さんさん山城』だけれども、『さんさん山城』の記述を通して、彼らがどのように考え、何を大事にし、活動を展開してきたのかを辿ることで、その核となる部分を描き出したいと思う。
これから記す、『さんさん山城』の物語を通じて、彼らが誰も排除しない場所をいかにつくってきたのか、そのヒントを掴み取ってもらえたら、こんなに嬉しいことはない。
けれども、やはり、読むだけでなく、実際に足を運び、その空気感を直接肌で感じるというのは何物にも代えがたい。
というわけで、何はともあれぜひ『さんさんグリーン』に遊びに行ってください、というのが今一番伝えたいことではある。

さんさんグリーンのサイトはこちら
筆者の「だから、ぼくは問い続けたいと思った」もご参照。
「さんさん山城」でのフィールドワーク経験について言及しています。
―つづく―

