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よろこびをたがやす - ともに、ろうを生きる、ながいながい物語 -

岩下紘己

その2 「さんさん山城」ってどんな場所?

前回からかなり時間が経ってしまった。前回記したことは、まとめれば次のようなことだった――いろいろあって『さんさん山城』は解散してしまったが、活動自体は場所を変えて形を変えて『さんさんグリーン』へと続いているということ、そして活動を通じて彼らが大事にしてきたことは、そのはじまりから変らずに受け継がれているということ。

と、ここまで振り返って気付いたのだが、そもそも『さんさん山城』とは一体何だったのか、きちんと紹介していなかった。『さんさん山城』を知らない方々には、何の話やらさっぱりついていけない、ということになりかねない。

なので、先に改めて紹介しようと思う。

さんさん山城定番野菜、えびいも

『さんさん山城』。
正式名称は、就労継続支援B型事業所『さんさん山城』。
『社会福祉法人 京都聴覚言語障害者福祉協会』に所属し、京都南部の京田辺市にて2011年に設立された。聴覚障害者が大多数を占めるが、精神障害者や知的障害者、ひきこもり経験者等も含めた10代から80代まで幅広い世代の約30名が働いていた。

ちなみに就労継続支援事業所とは、障害者雇用も含めた一般雇用では働くことが難しい障害者の人たちが働く場である。A型とB型に分かれており、A型は雇用契約を結ぶため最低賃金が保障されているが、B型は雇用契約を結ばない形なので最低賃金に満たない工賃が支払われる。つまりB型は、一般雇用で働くことが難しい人たちの中でも、より働くことが困難な障害者の人たちが働く場となっている。

『さんさん山城』は、B型事業所として自ら農業を行い、年間を通じて宇治抹茶やえびいも、京都田辺茄子や万願寺唐辛子、伏見唐辛子等、京の伝統野菜の生産、それらを用いた菓子等の加工・販売を行っていた。また、事業所にはカフェが併設されており、生産した野菜等を使用したワンコインランチを提供する他、バッグや小物入れなど布製品の縫製その販売も行っていた。

『さんさん山城』の活躍は目覚ましく、2015年、農林水産省・厚生労働省主催の『はじめよう農福連携』で全国における先駆的な9事例のひとつに選ばれた。

2019年には、農林水産省主催の『ディスカバー農山漁村の宝(第6回)』のコミュニティ部門に選出されたり、同年始まった内閣府主催の農福連携等推進会議第2回の有識者に施設長の新免修氏が選出されたり、その年から始まったノウフクJASの第一号事業所認定を受けていたり、さらには、国際連合による『2019 持続可能な開発目標(SDGs)済州国際会議』にて「地域に根差した農福連携の取り組み」というテーマでの講演実績もある。

このように『さんさん山城』は、事業所として農業の六次産業化(一次産業+二次産業+三次産業)に取り組み、積極的に地域との交流の場を作ってきたことから、農福連携のモデル事業として国内外からその活動が高く評価されてきた。

 

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