よろこびをたがやす - ともに、ろうを生きる、ながいながい物語 -
その2 「さんさん山城」ってどんな場所?
以上が『さんさん山城』への一般的な紹介や社会的な評価であるが、今回は、その魅力が真っすぐに伝わってくる一コマを紹介したい。それは『さんさん山城』の活動の中で最も多くの人で賑わっていた(今も『さんさんグリーン』で続いている!)、ろう者の祭典のような一日、月に一度の「土曜市」である。
ちょうどぼくが『さんさん山城』に通い始めた2020年7月から始まった「土曜市」は、同年2月から広がった新型コロナのために次々と中止となっていった外部イベントでの模擬店出店の代わりに企画されたものだった。収入の大きな柱のひとつであった外部イベントの機会を失った代わりに、自分達が外に出向くのではなくお客さんに来てもらう、という発想の転換でもあった。

外部イベントの模擬店には、調理器具から発電機、食材からテントに至るまでありとあらゆるものを準備し、荷物としてまとめ、人も物も運び込まなければならない。だから「土曜市」のように、自分たちのいつもの場所で活動ができるのは、比べ物にならないくらい楽だという。
敷地内にたわわに実るブルーベリーの食べ放題、かき氷やグリーンティー、えびいもコロッケやえびいもの唐揚げ、抹茶大福や抹茶クッキー、畑で収穫した旬の野菜たちなど、あらゆる『さんさん山城』の商品が立ち並び、カフェでは500円のワンコインランチが食べられる。
はじめての「土曜市」の日、ぼくは文字通り、ろうの世界に迷い込んだ。

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