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どら猫マリーのDV回想録 その4

プレイバック・パンデミック・パニック(続)

書類ではなかったことにされている雄猫くん。
確かに、なかったことにしたい過去。やっぱりいなくなって好都合な雄猫くん。
とはいえ、なかったことにしてはいけない経験。ぐるりぐるぐる、思考はめぐる。

だけどやっぱり書こう。考えよう。
そうしなければ失われてしまうことがありすぎる。
シェルターで出会った「外国人妻」たちもそうだし、私を助けてくれた人々もそうだし…… 何よりいつの間にか支配する暴力の恐ろしさは、やはり考え続けなければならないことだし、考えたい。しんどいけれどね。

ポーとエリーは相変わらずすくすくと育ってくれている。でも父母がそろっていないことにやはり疑問を感じているらしく、「お父さんいないおうちってビンボーって言われた」だの「うちはどうしておじいちゃんがお父さんの代わりしてるの?」だの、まっとうでよけいなことを言う。ポーなんて、まだお話がへたっぴだから、なおのこと、ずっしりくる。

パパ、ママ、いるよ
ポーくんと、エリーちゃんいるよ。4人で寝るよ。
パパ、ママ、みんないるよ。新しいやつ。こうやってこうやって、4人!

はいはい。揃っていたい、んだよね。
新しいやつって……長靴とか、自転車じゃないんだから。私は雄猫くんがいよいよ不憫になる。君たちがかわいいからこそ、理性は崩壊したんだよ。
と、ここでまた罠にかかろうとしている自分を見出す。これぞ、暴力の正当性のレトリック。

どうしてなんだろうねぇ。なんでいなくなっちゃったんだろうねぇ。母さんは知りたいよ。
お前たちを育てられそうになかったんだとさ。でもそれは嫌いになったのとも違うし、努力が足りなかったのとも違う。とにかくそうせざるを得ないっていうか、ね。

すっぱり言い返せる自分がいないのが悲しい。何のための社会学だったのだろう。
完結しないことにもどかしさを覚えつつ、始まりの兆しを感じつつ、どら猫マリーは今日も行くのです。

ねこ遠景

どらねこまりー ペンネーム。2 児のシングルマザー、DV サバイバー

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