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どら猫マリーのDV回想録 その5

マリーさんの誇りと絶望(話は少し、さかのぼる)

そういえば、元夫くんが精神的にマトモだった最後の日、私たちは動物園にピクニックに行ったのだった。観光地の売店で売るおもちゃなんて当然割高なのに。元夫君は無理してバブルガンなんて買ってきて、そこらじゅうシャボン玉を飛ばしてはしゃいだ。

実は今でも、あれあったらいいなあなんて思うことがある。

エリーとポー。2匹の笑顔が見られるのなら星さえも取ってやりたい。私はそんな風に思う。それは元夫君も同じだっただろう。だから、隣の家族が持っていたバブルガンを駆け足に買いに行ったんだ。

もしかしたら、そんな誰かを大切に思うその心が格差を産むのかもしれないなんて思ったりもする。同じくらいの年頃の子どもがバイオリンやピアノとかで神童扱いされているのを見ると、どこかで胸が痛くなる。焦って何か習い事でもさせたくなる。同級生がサッカー教室に通っているなんて聞いても同じことを感じる。うちの子にだって……!なんていう思いが頭をもたげる。そんな思いに経済状態がついて来ていないとなれば心は引きつるように痛い。痛いから嫌になる。嫌になる目の前で子どもがかわいいとなれば痛みは、申し訳なさで何十倍になる。

無論、最近は無理なことが多くなって来た。棒付きのキャンディーだけが、新幹線型のグミだけが宝物、というわけにはいかない。それは2匹の成長の証でもあるけれど。未来を展望すればするほど、不安は大きくなる。

電車って速い!
自宅の最寄り駅は一気に遠ざかり、新しく開けた街並みは輝いて見えたっけ。
2人乗りのベビーカーが重すぎて(これもヤフオク!で8割引きで見つけたお宝だ)電車のドアに挟まれそうになりながら動物園に向かった。

入口にどっしりとゾウの像があって、すかさずそこで記念撮影したのは言うまでもない。ゾウの像!ってね。

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