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難以言喻的香港生活所思 ―香港の現在、言うに言われぬ思い-

プロジェクトによせて
―つなぐことからはじめる―
阿古智子

香港の周庭(アグネス・チョウ)さん。多くのメディアがそう呼ぶように、私も「民主活動家」と紹介することが多いのですが、彼女は政治活動を行いつつも、アニメやアイドルが好きで、スイーツを食べたり、カラオケで歌ったりするのを楽しみにする、ごく一般的な女性です。政治は私たちの普通の生活に関わることなのだと、彼女はよく話していました。

しかし、大人数の市民が警察本部を取り囲んだ2019年6月の抗議活動に関連し、無許可の集会への参加を煽ったなどとして、彼女は2020年12月、禁錮10ヶ月の実刑判決を受けて収監されました.

6月12日、刑期を終えて出所した周庭さんは、収監前よりもずいぶん痩せた様子で、報道陣の問いかけに応じることなく、迎えに来た車に乗り込みました。

愛くるしい笑顔が素敵だった周庭さんから笑みが消え、彼女の朗らかな声を聞くこともできませんでした。彼女がその日、インスタグラムで投稿したのは真っ黒の画面でした。

その5日後の6月17日、香港最後の民主派の新聞といわれる「アップル・デイリー」(蘋果日報)に対し、昨年5月の「外国勢力を駆り立て、香港や中国政府の制裁発動を求めた記事」などが国家安全維持法(国安法)に抵触する疑いがあるとして、編集長、最高経営責任者(CEO)ら5人が逮捕され、資産も凍結されました。

国安法は遡及して適用しないと説明していたにも関わらず、今回、過去の記事にまで遡って取り締まりが行われたのです。警察が500人以上動員されて本社への捜査が行われ、パソコンや資料も押収されました。6月24日、アップル・デイリーは事業の閉鎖を正式に発表しました。

自由で豊かな言論が香港から抹殺されてしまうのか。このところ、香港からニュースが飛び込むたびに、暗い気持ちになりますが、香港の人たちは表現することを、自由な言論をあきらめてはいません。6月17日の翌日、アップル・デイリーは普段、約8万部が発行されているところ、50万部を印刷し、ニューススタンドやコンビニに新聞が大量に積み上げられました。24日の最後の日には100万部が印刷され、多くの人が列をなしてアップル・デイリーを購入し、言論の自由を守るために抵抗する意志を示しました。

香港の人たちが何を感じ、考えているのか。彼ら、彼女らの声をこれからも聞き続けたい。香港の人たちの喜怒哀楽を、その表現を通して、私たちも世界の問題を、自らのあり方を考え続けたい。そのような思いから、このプロジェクトが立ち上がりました。

このプラットフォームを通して、多くの人たちと繋がっていきたいと思っています。

■中文■ 項目緣起與寄望——從聯繫開始

周庭(Agnes Chow)— 正如很多媒體對她的稱呼,我也經常形容她為「民主活動家」。但她在投身於政治活動的同時,亦喜歡日本和韓國的動漫、偶像,享受吃甜食和到卡拉OK唱歌,是個極為尋常的女性。她常說,政治是關乎到我們的日常生活的。
然而,2019 年 6 月一場大量市民包圍警察總部的抗議活動,使她於 2020 年 12 月因煽惑及參與未經批准集結的罪名,被判處監禁 10 個月。
於6月12日刑滿出獄的周庭,似乎比入獄前瘦了許多,沒有回答一眾記者的提問,便登上了來接她的車。
笑容甜美的周庭消失了,甚至連她開朗的聲音都聽不到。那天她在Instagram上發佈的,是一張全黑的照片。

五天後,即6月17日,香港最後一家民主派報館《蘋果日報》被指於去年5月,在文章中呼籲美國等國家對香港及中國政府實施制裁,違反了維護國家安全法(National Security Law)。《蘋果日報》包括總編輯及行政總裁在內的五人被捕,報館的資產亦被凍結。儘管香港政府曾指出國家安全法不設追溯期,但這次他們卻連過去的文章也追溯了。
香港國安處出動了500多名警察到報館總部進行搜查,並檢走了電腦及新聞材料。6月24日,《蘋果日報》的業務正式停止運作。

自由且豐富的言論會在香港被抹殺嗎?這段日子,每次從香港傳來消息,都讓我們感到沮喪,但香港人並沒有放棄言論自由。6月17日的翌日,平常印刷量為約8萬份的《蘋果日報》一共印了50萬份,6月24日的最後一期《蘋果日報》更印了100萬份,大量報紙堆放在報攤和便利店內,許多香港市民排隊購買,以表示他們捍衛言論自由的抗爭意志。

香港人的感受和想法是什麼呢?今後,我們想繼續傾聽他們的聲音。通過香港人的喜怒哀樂,我們也想繼續思考整個世界的問題,和我們自己處世的方式。從這樣的考慮出發,我們啟動了這個項目。

我們希望透過這個平台,與更多更多的人聯繫。

201912261716旺角朗豪坊前
2019年12月26日17:16 旺角朗豪坊前

警察との激しい衝突が頻繁に起きていた旺角の大きな商業施設「朗豪坊」前で撮影。落書きの壁は香港メトロ旺角駅の施設。ギターの香港人は、日本語で「世界が終わるまでは」を弾き語りしていた(WANDSの曲でアニメ「スラムダンク」エンディングテーマ)。歌詞が当時の香港の状況や落書きと相まって涙を流しながらシャッターを切ったことを今も鮮明に覚えている。――Age. I

撮影:Age. I 2001年生まれ。小学生の頃にいじめを受け不登校に。また、これが原因となりPTSDに罹患。以来、自分自身を苦しめる「暴力とはなにか」を問い続ける。2019年 民主化運動下の香港には2度の渡航、計3週間の滞在。

■中文■

攝於示威者與警察頻繁發生激烈衝突的旺角大型商場「朗豪坊」前。被塗上標語的牆是港鐵旺角站的一部分。抱著結他的香港人,在用日文自彈自唱著日本樂隊WANDS的《直到世界盡頭》(動畫《男兒當入樽》的片尾曲)。歌詞與香港當時的狀況以及牆上的標語互相呼應,使我流著淚地按下了相機的快門,這回憶至今仍然鮮明。――Age. I

攝影:Age. I 2001年出生。小學時期被欺凌,其後拒絕回校上課,並因而罹患PTSD。自此以來,不斷探究折磨自己的「暴力」到底是甚麼。在2019年兩度前往民主化運動下的香港,合共逗留了三星期。


Esther エスター 日本留学経験あり、香港在住

あこともこ 現代中国研究、社会学、比較教育学

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