難以言喻的香港生活所思 ―香港の現在、言うに言われぬ思い-
Everything is politics but politics is not everything.(すべてのことが政治に関わっているが、政治がすべてではない。)私の大学時代、教授がよくこの言葉を授業で言っていました。
この文章を書いていたのは、ちょうど東京オリンピックで、様々なイベントが盛んに行われている時でした。多くの香港の人びとにとって、香港のアスリートが次々と良い成績を収めるのを目にするのは、まるで映画や展覧会を観ているかのようでした。つまりそれは、重苦しい政治に関するニュースから出口を見出して、抑圧的な政治環境のなかで一縷の慰めを得られるからです。誰もが一時政治を忘れ、香港を代表するアスリートに自らの思いを託したかったのです。
けれども、ことはそれほど単純ではありません。
世界ランキング9位の香港のバドミントン選手、ン・カロン(伍家朗、Ng Ka Lang)は、スポーツウェアを提供するスポンサーとの契約が切れたため、スポーツウェアに香港の旗をプリントする権利をもっていませんでした。最初の男子シングルス・団体の試合で、彼は自前の黒いジャージを着て試合に臨みました。このことが、香港の多くの親中派からの批判を招き、彼らはバドミントン協会にも圧力をかけたのです。続く試合で、ン・カロンは香港の旗がプリントされたスポーツウェアを着ていましたが、快適ではなさそうでした。その上、それはテニスウェアだったようです。
結局、ン・カロンはこの試合でグアテマラの選手に敗れ、トップ16に進むチャンスを逃しました。試合後、ン・カロンは期待通りのパフォーマンスができなかったと自分を責めましたが、スポーツウェア事件の影響を受けたことも認めました。
オリンピックは国籍を参加単位とするため、その性質上、さまざまな政治問題が絡んでいます。しかし、今回の香港に関わる政治的批判は、5年間努力を積み重ねてきたアスリートに間接的に影響を与えてしまい、彼はキャリアの頂点で迎えたチャンスを、無に帰すことになってしまいました。
政治はすべてではない。心の中から政治を排除し、文学や映画、スポーツにスペースを与えよう。そう思いたくても、今の香港では、必ず、Everything is politics(すべては政治なのだ)と、思い知らされるのです。
■原文■ 譯者的話
「Everything is politics but politics is not everything.(一切都是政治,但政治不是一切)」這是我在大學本科時,教授經常提醒我們的一句話。
執筆之時正直東京奧運,各項賽事進行得如火如荼。對不少香港人而言,看見香港運動員在運動場上屢創佳績,就如觀看電影和展覽一樣,可算是在沉重的政治新聞中的一個出口,在壓抑的政治環境下的一絲慰藉。大家都想暫時忘卻政治,為代表香港的運動員全力打氣。
然而,一切卻非如此簡單。
世界排名第九的香港羽毛球選手伍家朗因未有球衣贊助,亦未獲授權在球衣上印上香港區旗,在第一場男子單打的分組賽時,以自行準備的黑色球衣作賽。此做法引起多名建制派人士公開批評,亦令羽毛球總會備受壓力,在下一場賽事中為伍家朗換上印有香港區徽、卻顯然並不舒適,甚至被認為是網球款的球衣。
最後,伍家朗在該場賽事不敵危地馬拉的選手,無緣晉級十六強。賽後伍家朗雖然自責是日發揮未如理想,但亦坦言表現受球衣事件影響。
以國籍為單位參賽的奧運比賽,固然在本質上已經牽涉了許多政治,但在香港層面的政治批鬥,亦間接使運動員在生涯癲峰的五年努力付諸流水。
在現今的香港,即使我們明白政治不是一切,心底裡能撇除所有政治,留一個地方給文學、電影、體育,卻永遠會有人來提醒我們,everything is politics。
180度の視野を補うには(阿古智子) につづく