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難以言喻的香港生活所思 ―香港の現在、言うに言われぬ思い-

番外編 2014~2019~2024年からの発信 

小川善照 トウィンクル・ンアン
進行 アーリック・リー

2024年9月3日、アップリンク吉祥寺『香港、裏切られた約束』
上映後トークイベントより

『香港 裏切られた約束』はアップリンク吉祥寺にて上映中。
原題;因為愛所以革命 Love in the Time of Revolution(2022年・116分)/配給:アップリンク/制作:ICH BIN EIN HONGKONGER presented by DAWN WORKSHOP/監督:トウィンクル・ンアン 顔志昇 (Twinkle Ngan)

トークイベントの文章化・掲載にあたり、アップリンク吉祥寺のご協力をいただきました。アップリンク吉祥寺、小川善照(ジャーナリスト)、トウィンクル・ンアン(本作監督)、アーリック・リー(Lady Liberty Hong Kong代表理事)の皆様にお礼申し上げます。


リー : 皆さんこんばんは。Lady Liberty Hong Kongのアーリック・リーと申します。こうして多くの方々が香港に関心を寄せ、この映画を観ていただけることに、心から感謝いたします。今現在、多くの香港の活動家が香港の刑務所に収監されて、香港からのニュースが海外に届くことが、ますます難しくなっています。

東京を拠点に、香港・アジア地域における民主主義、自由、人権の推進を目指すNGO https://llhkjp.org/about

2人のゲストをご紹介します。まずこの映画の監督、トウィンクル・ンアン。わざわざロンドンから駆けつけてくださいました。そして、ジャーナリストである小川善照さん。2019年の香港を現地取材していました。小川さんは、2023年6月に香港に入境拒否されています。小川さん、日本のジャーナリストとして初めて入国拒否されましたが、理由は何だと思いますか。

観光キャンペーン中の強制送還

小川 : 私は『香港デモ戦記』(集英社新書,2020)という本を書いています、周庭さんが表紙です。2014年の雨傘運動から香港を取材していまして、ずっとフリーのジャーナリストです。いわゆる所属する会社も組織もない。でも、そういう所属がないフリージャーナリストにも、かつての香港は開かれていました。「報道の自由」ランキングでは、日本より上だったんです。だから私はずっと取材を続けることかできました。香港での取材はこれまでと同じように可能ではないかと考えて、私は去年、香港に入ろうとしたんです。しかし、「報道の自由」を許す余地が、もう香港にはなかったんです。

その後、香港のマスコミの人たちが、入国管理局トップの人に対して、「彼(小川)を強制送還したのは何故だ」って問い詰めてくれたんですが、なんの返答もなく無言で去って行ったそうです。実際に、いまだに強制送還のちゃんとした理由は明らかにされていません。この時に、入国管理局のトップに対して質問をしてくれた香港のマスコミの人たちには、本当に感謝しています。

香港はそのとき観光キャンペーン中だったんですよ。日本人に対して、無料の航空券まで配っていました。その最中に私の強制送還の記事が出るという事態・・・・・・それでいまだに、香港は観光客がコロナ前の人数に戻っていないんです。香港政府は自業自得ですよね。

 


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