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難以言喻的香港生活所思 ―香港の現在、言うに言われぬ思い-

番外編 2014~2019~2024年からの発信 

小川善照 トウィンクル・ンアン
進行 アーリック・リー

(つづき)

香港人のファンになった

リー : 小川さんは、雨傘運動にはどうして興味をもったんですか?

小川 : 香港をずっと取材されているYさんという大先輩から誘われたのが最初のきっかけです。最初は観光気分で行ったんですけれど、ついてすぐにセントラル(中環)の光景を見たとき、「これは何なんだろう」って本当、衝撃を受けたんですよ。

香港には経済活動や表現、言論の自由もあるところなのに、政治参加の民主主義だけがない。その民主主義を勝ち取るために、香港の人たちが――本当に若い人たち、年寄りの人たちも、皆さんがその現場でoccupy(占拠)していました。今回(の映画)も立法会(国会)の場面も何度か出てきましたよね。議場突入もありましたけれど、2014年の雨傘運動のときには、その辺にずらっと、テントがあったわけです。そこで皆さん、若い人たちが何やっていたかっていうと……、皆さん、お菓子を食べていたり、スマホで動画を見ていたり、あちこちで友だちと喋っていたり、そういう感じだったんです。

なんか、すごい、力が抜けてて、面白いなあって。夕方ぐらいになると、そこいら辺でカップルができていたりとかしてですね。運動の空間を楽しもうというような、そういう力の抜け方まですべて、香港の人たちのやり方が、かっこよかったんです。本当に。

今回の映画で記録されている2019年のデモとは違って、雨傘運動のときには、まだまだ皆さん、どこか表情が明るくて、香港の未来を信じていたんですよね。そういう前向きな戦い方を見て、これは日本に伝えなきゃいけないと思ったんです――日本人には普通選挙とかデモクラシー、民主主義って、あるわけです――それを、こんなにも求めている人たちがいるんだってことを。

それが、香港を取材するようになった最初のきっかけです。言い換えると、香港で民主化運動をしている人たちのファンになった、というのが大きいかもしれないですね。(今着ている)これがそのときのTシャツです、雨傘運動の。そのときに香港の人たちを取材したから、私はいまだに香港を取材し続けているんでしょう。

リー : ありがとうございます。今日はせっかく監督さんがいるので、質問があればぜひ。

アップリンクで上映中の最新バージョン

小川 : はい、私はジャーナリストとして、いろいろ聞きたいんですけれども、今回の映画、私は大阪でも見たんですが、かなりアップデートされていますよね。これが最終版ですか?

ンアン : [通訳を介して。以下同] 今回のバージョンは、(上映会場の)アップリンクさんにご協力頂いて、最初と最後の方に少し、アップデートがされています。これが今のところでは、最終版です。

小川 : なるほど。実は、今回追加されている映像には、私も取材した方が出てきました。マンチェスターの中国領事館の前で抗議活動中に暴行され、敷地の中に引きずり込まれそうになったボブさんです。私は昨年8月にマンチェスターで取材しました。彼は、2019年には勇武派(警察の弾圧に武力で対抗した若者たちでデモの最前線にいた人ですね。

 抗議活動における勇武派の行動や、その後の経過は、インタビュー記録『香港秘密行動:「勇武派」10人の証言』 楊威利修、勇松訳(2022、草思社)に詳しい。

私はもう香港に行けないので、イギリスや台湾に逃れた勇武派の人などに取材を続けているところです。なかなかまとめる機会がないんですが……

 


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