難以言喻的香港生活所思 ―香港の現在、言うに言われぬ思い-
番外編 2014~2019~2024年からの発信
小川善照 + トウィンクル・ンアン
進行 アーリック・リー
(つづき)
小川 : そのときに、アップリンクのスタッフの方からの提案でイベントもやったのですが、周庭さんが香港からリモートで参加してくれました。
渋谷の壇上に上がったのは、写真家の藤原新也さん、立教大学の倉田徹先生と、もう1人、リモートで雨傘運動の現場にいたサム・イップさん――サムさんは今、日本に亡命されていますが――、そういう人たちを繋いでイベントを行ないました。
小川 : そのときの観客席に、SEALDs(シールズ)のメンバーの方も来てくれました。
SEALDsは、2015年に日本の国会議事堂の前で(集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案に反対し)デモをやっていた人たちですよね(正式名称:自由と民主主義のための学生緊急行動)。実は、周庭さんから「SEALDsの人たちと話をしてみたい」とも言われていました。SEALDsの奥田(愛基)くんたちも、雨傘運動に興味を持ってずっと見ていたそうで、周庭さんたちをリスペクトしていたんですね。
この繋がりから、周庭さんが日本に来たときに奥田くんたちと対談しました。ジョシュア・ウォン(黄之鋒)くんや、台湾のひまわり学生運動*の中心にいた陳為廷さんとも対談し、本にまとまったんです(『日本×香港×台湾 若者はあきらめない』2016,太田出版)。アップリンクさんは、その時から香港の人たちとの繋がりを大事にされていると思いました。
* 2014年3月、台湾の馬英九政権が進めた中台間のサービス貿易自由化の協定に反対した学生らの抗議活動。立法院(国会)を占拠し、協定批准を阻止した。
その周庭さんの話もしましょう。
2019年の6月9日に逃亡犯条例改正案反対のデモが始まって、報道が大きくなった翌日には周庭さんが日本に来て、プレスセンターで記者会見をされました。それから日本のメディアでもどんどん彼女がとり上げられ、香港の状況も取り上げられるようになったんですが、当時から、抗議行動の参加者に対する警察のものすごい暴力の問題がありました。
日本でも支援デモが立ち上がりました、6月13日です。SEALDsは数年前に解散表明していたんですが、このとき立ち上がってくれたのが、あまり表に出なくなっていた奥田くんたち、もとSEALDsの皆さんでした。デモクラシー、民主主義を掲げる学生たち同士が友情で結びついた。このときは、渋谷駅前に2000人以上が集まって「香港加油」を叫んだんです。今日、アップリンクに来場された方たちも、香港に関心をもっている方たちだと思います。そういう人たちの思いは、これからも、ここからまた広がっていくんじゃないかなと思います。
ンアン : ありがとうございます。ひとこと言いたいと思います。僕自身、難民のひとりとして、この場に来ています。これは、そんなに簡単なことではありません。協力してくださった日本のチームの方々のおかげです。今回この会場で、皆様の顔を見て、お一人お一人に、感謝の拍手をしたいと思います。ありがとうございます。
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