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春 待つ こころ 障碍の児の思春期、ノート その6 -1 堀切和雅

ごく少数ながら知的障碍はなく教科学習を中心にして受験などを目指す生徒もおり、そのための学級ではカリキュラムも全く別。

それにしても、ほとんどの生徒には知的障碍と身体障碍の双方があり、いわゆる重複障碍の子たちのようだ。その後この支援校をいろいろな機会に訪れるたびに、それも解ってくるようになる。そして生徒たちの障碍の程度はおしなべて、わが子が入学する以前にぼんやりイメージしていたそれよりも「重い」。

自立活動というのは、マットを敷いたやや広い部屋で、各自が動ける範囲で動き、またそれを援助してもらう時限だった。

これは大事な時間で、毎朝1時間目にある。

肢体不自由の子には麻痺や痙縮を持つ者もあるし、運動できる範囲も機会も限られているので身体全体も固まりがち。だから毎朝、身体を緩めて温めるつもりで、それぞれにリラックスする時間をつくる。

この「自立活動」の様子は響の入学を決める前にも僕らは見学に来ていて、いいな、と思っていた。響は短い距離なら歩けるけれどもすぐ疲れてしまう。また、歩き方もバランスが良いとは言えず、身体が大きくなるにつれてバランスの崩れも大きくなってきている。すぐ転ぶ。膝をすりむく。

支援してくれるのは専門的な作業療法士や理学療法士ばかりというわけではないようだったが、自分の体に気づき、少しでもうまく動くことを学んで行くのは、一生必要なことだ。

「生活単元」ではトマトやさつまいも、バジルなどを校地の片隅でつくっているよう
だった。響がときどき持ちかえってくれる僅かな収穫を、ありがたく食卓にのぼせる。

「自分でつくると、おいしいでしょう?」
「うん。おいしい」「お父さんも食べてね!」

そんな会話も生まれる。


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