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『ひらけ!モトム』によせて

B&Bオンライン・トークのために  その1

大学生だった岩下紘己さんが、地域で自立生活をつづける重度障害者の上田要さんの語りからまとめた本、『ひらけ!モトム』。その刊行記念(刊行から2ヶ月近くたったけれど)イベントを、11月25日に下北沢の本屋B&Bさんからのオンライン・トークイベントで行なうことになった。

どんなトークにしようかと、著者の岩下紘己さん@大阪と、モトムこと上田要さん@世田谷とで、数度にわたって、メッセンジャーで相談がつづいた。岩下&上田のトークではなくて、上田さんの歴代介助者も交えて、これまでの地域での活動や経験も語って欲しい、というのが、当初からのふたりの希望だった。

とはいえ、上田さんが東京の世田谷にくらすようになって40年強。さまざまな場面で先輩的な存在だった人は、障害のある人/ない人も、トーク参加が難しい年齢であったりする。

上田さんの思いは、ともに活動し、若くして亡くなった人たちにも向いていた。
『ひらけ!モトム』にも登場する人たち――初代介助者で一緒に八百屋をやった林忍さんや、バスの車椅子乗車拒否抗議やノンステップバス実現を求める運動、介助者グループをつくった山田圭さん、星野近人さん。彼らの存在を忘れたくない。

小田急線線路跡に今春に移転オープンした本屋B&Bにて、モトムこと上田要さん

上田さんは悩みに悩み、岩下さんとの相談を経て、3人の方にトークにご参加いただくことになった。

毎日のブックトーク・イベントで知られる下北沢の本屋B&Bは、幸か不幸か、このコロナ禍を、オンライントーク・イベントというかたちで乗り切っていた。これなら遠方にいても、仕事で時間がタイトでも、参加してもらいやすい。

そもそも、リモート・ツールは、移動や身体動作にハンディを負わされている「障害者」の味方ではないか。これを使ってこそのイベントではないか。

まず、当日の進行役でもある著者の岩下さんからして、現在は関西の立命館大学の茨木キャンパスで多忙な院生生活中。大阪からのリモート参加。

同じく大阪から、大阪大学准教授(科学社会学がご専門)の中村征樹さん。
90年代にボランティアグループ「ぼらんたす」のメンバーとして上田さんと活動した介助者で、バス乗車拒否抗議にもかかわった。

さらに遠く札幌から、上田さんの歴代2代目介助者の及川均さん。もと演劇集団の「黒テント」のメンバーで、上田さんとはアジア民衆演劇祭を企画した「太陽の広場」をきっかけに出会った。現在は民泊を運営し、演劇など表現活動やワークショップを主宰している。

そして、下北沢の本屋B&B現地で、当日の上田さんの介助者としてもサポートをいただく、津留由人さん。上田さんの80年代からの介助者で、上田さんと同い年でもある。(注:津留さんは残念ながら急なご事情で当日はご欠席となりました)

リモートとはいえ、冥界からの参加は困難・・・なので、故・林忍さんには、かつて撮影された動画でご登場いただくことに。

障害者が地域でくらすなかで、信頼関係を深く結んで、家族ともいえるほどになった人たちもいる。家族ってなんだろう、というテーマにもふれる。そこで、『ひらけ!モトム』でも上田さんが「孫だ!」と叫んだお子さんのご一家、島田ファミリーも「家族会議」動画でご参加。

上田さんというひとりの重度身体障害者が、世田谷という地域で積み上げてきたこれまでを、関わってきた方々の思い出とともに振り返りながら、これからを生きるために世代を越えて経験を手渡し、ともに考える場になればと、著者・岩下さん、当事者・上田さんとともに、願っています。

もうひとり。
今回のトークでスピーカーとしてご登場いただこうかとお声がけした障害当事者で、上田さんと長年、公的介助保障を求める運動で活動してきた、HANDS世田谷の鈴木範夫さんがいます。

今回はご参加ではないのですが、鈴木さんから、『ひらけ!モトム』の記述の誤りをご指摘頂けたご縁で、HANDS世田谷と、ケアズ世田谷、「公的介助保障を要求する世田谷連絡会」(介助連)について、すこしだけお話しをうかがってきました。

その2につづく

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「ひらけ!モトム」刊行記念 オンライン・トークイベント「つなげ!自立と介助と地域」2020年11月25日 本屋B&B(東京・下北沢)【終了しました】

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