出版舎ジグ
jig-web 連載

アーユル・ヴェーダの日々ヘッダー画像

南インド放浪記 青木麻耶 その2

アーユル・ヴェーダの日々

そうこうしているうちに長かった3週間も終わりに近づき、ついに最後の施術、大バスティ(浣腸)を迎えた。600mlもの浣腸液を入れる。もっと辛いものかと思っていたら意外とそうでもなくて、期待していた宿便も出なくて少しがっかりしてしまった。

わたしはいつも即物的で目に見えるわかりやすい結果を求めてしまうけれど、欲しいものはそんなに簡単には手に入らないということなのだろう。期待しすぎないこと。今あるものに感謝すること。日々の習慣、生活、思考。まずはそこを少しずつ改善していこうと思った。

初日の散歩で訪れた場所が美しくて、もう一度そこに行ってみたくて、朝夕の30分だけ外に出られる時間、毎日のように試しては袋小路にハマってたどり着けなかったのだけれど、最終日の朝に、ようやくそこにたどり着いた。

結局はただひたすらまっすぐ進む、一番単純な道だった。変に勘ぐったり地図に頼ったりせずに、自分の直感を信じて進めというメッセージだと思った。

病院に戻り、最後のマッサージを受け、みんなに挨拶がてらお菓子を配ったり写真を撮ったりして、ついに出発の時間。病院のドクターやスタッフ、そして他の患者さんたちまでがぞろぞろ出てきてみんなで見送ってくれた。ウーシャやジャヤの顔を見たら思わず泣きそうになってしまったけど、ジャヤの言葉を思い出して今度はグッと堪え、笑顔で別れた。

みんなが見送ってくれた
みんなが見送ってくれた。

あおき まや 2016年5月から1年間、北米南米8カ国を自転車で移動し、各地の持続可能な暮らしや手仕事を見て周る。帰国後、2017年夏からは約半年間で31都道府県を走り、伝統文化や手仕事、自然と寄り添った暮らしを営む人たちと出会う。今後はローカルな日本の魅力を伝えるために、ガイドやライター業を通して人と人をつなげ、情報の発信を行なっていく。

関連イベント 

2020年10月2日(金) 
青木麻耶さんのインド旅をめぐるオンライントーク
焚き火のある座談会 vol.11 : 終了しました

 

【南インド放浪記】連載記事一覧はこちら »

↑

新刊のお知らせ