ひらけ!モトム大学生のぼくが世田谷の一角で介助をしながらきいた、
団塊世代の重度身体障害者・上田さんの人生
1400円+税
四六判 224頁
- ISBN
- 978-4-909895-03-5
1400円+税 46版224頁並製
978-4-909895-03-5 C0036
本文の記述に誤りがありました。正しくは以下の通りです。
■ 21頁 7行目
【誤】NPO 法人 HANDS 世田谷で、上田さんの専属として介助者登録をした。
【正】ケアズ世田谷で、上田さんの専属として介助者登録をした。
■ 21 頁 9~10 行目
【誤】私はHANDS世田谷から派遣される形で
【正】私はケアズ世田谷から派遣される形で
■ 133頁 後から4行目
【誤】現在は、障害者総合支援法が定める介護給付の重度訪問介護や居宅介護などのサービスを、指定事業者として区から委託されて行なうほか、独自の活動を続けている。
【正】二〇〇三年、HANDS世田谷の考え方を踏襲してNPO法人ケアズ世田谷を設立、東京都の指定事業者として重度訪問介護や居宅介護などのサービスを提供している。
■ 133頁 後から2行目
【誤】上田さんも設立の当初から三〇年近く「HANDS世田谷」に携わり、現在は理事を務めている。
【正】上田さんも設立の当初から三〇年近くHANDS世田谷に携わり、ケアズ世田谷の副理事長を務めた。
■ 134 頁 1行目
【誤】「HANDS世田谷」の登録介助者
【正】ケアズ世田谷の登録介助者
■ 185 頁 4行目
【誤】ケアズ世田谷(HANDS世田谷が実施している介助者派遣事業)から派遣されて来た人
【正】ケアズ世田谷(HANDS世田谷の考え方に基づく介助者派遣事業所)から派遣されて来た人
閉じる
岩下青年は、週に一度の泊まり介助の夜に聴く上田さんの思い出話が楽しみだった。――敗戦後の広島、江田島の家で後継ぎとして生まれた、勘違いして入所した施設で無二の友ができた、施設を出て東京で障害者運動にであった、八百屋の配達に電動車椅子で奔走した、介助者の結婚式に上司として出席した、その子どもが生まれ思わず孫だ!と叫んだ、ノンステップバスの視察で北欧に行った、テント演劇でフィリピンに行った……! 1948年広島生まれ、世田谷暮らし。24時間介助を獲得して自立生活中の重度脳性麻痺者・上田さんが語り、障害と介助に出会った大学生がまとめたライフストーリー。人びとへ、街へ、自分の場所をひらきながら障害と生きる、「ふつうでないあたりまえ」の暮らし、それをつくる人生の話。
とかく言うじゃないですか「人に迷惑かけちゃいけない」。違うのよ、お互いが、迷惑かけあいましょう、それが本当の自立、地域でしょ、社会でしょ。お互いが迷惑かけあうっていうことが本当の優しい地域っていうか、みんなが住みやすい形だろうなって俺思ってて。
***
世田谷線で、俺が乗ったら、車椅子席のところに行ったら、その親子が目の前にいたのね。その女の子が、僕の顔を見て笑い始めたと。一瞬ムカッときた。その子が笑い始めたとき。でも母親の顔を見て、子どもが面白がってるところを、親が微笑んで見守ってたわけですよ。それで逆に俺自身が変わっていったのね。
嬉しくはないけど、子どもが素直に自分の気持ちを表して笑ってたってところが、見て見ぬ振りじゃないわけじゃないですか。親子で見て見ぬ振りじゃなくて、素直に俺と面と向かって。
笑った子どもを叱ってやめさせる意識の方が差別だろうと思うわけよ。すごいにこやかな顔で笑ったんだよね、お母さんが。「ああ、このお母さんわかってるな」と思ったわけですよ。
――本書、上田要さんの語りより
■著者 岩下紘己 いわした・ひろき
1996年東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。
大学在籍中、NPO法人HANDS世田谷派遣の上田要さん専属介助者として週に1回の泊まり介助を担当。
現在、立命館大学大学院人間科学研究科博士前期課程在籍。
■終了しました■
2020年11月25日 20:00~22:00 from 本屋B&B(東京・下北沢)
著者・進行役 岩下紘己 さん
「ひらけ!モトム」著者。立命館大学人間科学研究科博士前期課程在籍
当事者 上田 要 さん
「ひらけ!モトム」の主人公、生活史の語り手。
+
オンラインコメンター
及川 均 さん
上田さん歴代2代目介助者。もと黒テント劇団員。札幌在住。パートナーの藤沢弥生と
hotcafeほっぺた館や民泊を運営、演劇などの表現活動やワークショップを続ける。
中村征樹 さん
1993年ごろから上田さんと活動するボランティアグループ「ぼらんたす」
初期メンバーで介助者。「バス壁」活動にかかわった。現在、大阪大学准教授。
津留由人 さん
上田さんの1980年代からの介助者。当日はB&B会場で上田さん介助担当も兼任。
Ⅰ はじめまして
週に一度の日常/はじめまして/自立生活の介助、トラブルとコンフリクトについて/あらためまして
Ⅱ ある障害者の生活史
―― 潜り始める直前のひと息 語り始め ――
0 生まれるまで
勝手に家を出て、突然帰ってくる/「後継ぎ」として「この体」で生まれる/笑いで締めくくる
1 おおっぴらにしちゃった
近所の友だちと遊ぶ/おばあちゃんの英才教育/地域の学校に通う
2 いらない存在、ではない
ひとりぼっちになる/このままでいいんだねって/少しはこの体が動いたほうがいい/ここで俺の人生終わるのか/施設に入るということ/「障害者」としての自覚
―― ひと呼吸をおく 語りの中断 ――
生活史を聴くということ/「障害」の経験への接近
3 からだを曝け出す
何の問題もなく振られる/電動車椅子に乗る/東京に出る/蜂の会/世田谷ボランティア連絡協議会/ハンディキャブ/夜と夜の夜
4 みんなと、ひとりで生きていく
太陽の市場/エド・ロング、HANDS世田谷/みんなの広場、介助者の死/母の転倒・父の死・自立生活
5 バスはみんな乗れないと
乗車拒否/東急バス闘争の始まり/壁をなくす会/ノンステップバス運動・再び介助者の死
6 血はつながっていないけれど
感覚麻痺・母の介護・第一線から退く/重くなる「障害」・入院生活・母の死/水俣演劇ワークショップ・重度訪問介護制度/人と関わる/孫のこと
―― 水面に上がった直後のひと息 語りおわり ――
Ⅲ ひらいていくこと
「みんなにショックを与える上田要の始まり」ということ/ひらいていくモトム/「家族」について
上田さん年表
―― 終わりのあとに ――
主要参考文献
あとがき
1400円+税
四六判 224頁