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パラグアイ日記  青木麻耶 その2

アレグアの仲間たち

パラグアイの首都アスンシオンから車で1時間ちょっと離れたアレグアという街に、一週間ほど滞在した。ここはパラグアイ随一のいちごの産地で、シーズンになると道路いっぱいに並んだ露店を目当てに大渋滞が起こるのだと聞く。

そんなアレグアの郊外に住んでいるという日本人女性 I さんを紹介してもらった。
I さんは98歳になるお母さんと90歳のおばさんの介護をするために、数年前にパラグアイに移住した。「施設に預けるのは嫌だし、だからと言ってホームヘルパーを日本で雇ったらえらいことになるでしょ。でもパラグアイなら住み込みで人を雇っても月2~3万円だから。本当によかったわ。」と語る。

夫のお仕事の関係で中国、タイ、マレーシアなどいろんな国に住んだことがあり海外生活に慣れているとはいえ、夫や息子さんを日本に置いたまま、行ったこともないはるか遠くの国に、高齢のお母さんたちを連れてひょいっと移住してしまうとは、すごい決断力と行動力だなあと思う。

I さんのお宅のすぐ近くにお友達が建てた家があり、まだ空き家だからと滞在させてもらった。その家の隣には I さんが建築中のドーム型のペンションがあり、そこの大工さんであるウーゴとも仲良くなった。

ある日 I さんのお宅に呼ばれてアサード(パラグアイ流のバーベキュー)をごちそうになっていると、ウーゴがこの近くにあるというアートの学校について教えてくれた。
そこは土や竹、ガラス瓶やペットボトルの蓋など、自然素材と廃材だけでできた建物が立ち並ぶアートの学校。絵を描いたり、ギターを習ったり、子供から大人まで誰でも自由に学べて、お金もかからない。そこにウーゴが立てたドーム第一号もあるという。
「なるべく自然の素材や捨てられてしまうもので建物を作りたいんだ」と話す彼。

わたしはパラグアイに来てから度々ゴミについて気になっていた。
焼却炉もないので、燃えるゴミも不燃物もビンもペットボトルも全て一緒くたになって郊外に埋められており、臭いや汚染が深刻だという。アスンシオンの町を歩いていてもみんな平気でポイ捨てをするし、どこもかしこもゴミだらけ。だから彼からこの話を聞いただけですごくうれしくなった。

「今日はちょうどminga(みんなで掃除などの作業をする日)だからたくさん人がいると思うよ」と言うので、すぐに行ってみることにした。
到着するなり「コンニチハ」と出迎えてくれたのは職員のケニアさん。祖父母は宮城から移住してきた日系3世で、日本語も少し話せた。ウーゴの作ったドームの中は図書館になっていて、ボランティアの人たちが寄贈された本をきれいにする作業をしていた。わたしはきれいになった本に「エル・カンタロ」のロゴが入ったハンコを押すお手伝いをさせてもらった。

ひと段落したところで、ケニアさんが案内してくれた。狭い敷地に建物が並び、小さな畑も作られていた。土や竹、ガラス瓶が使われた建物、モザイクアートのロゴ。かわいらしいベンチ。これもモザイクアートかと思いきや、よくみるとペットボトルや瓶のふた!

そして目に付いたのは後ろの竹林。黄色くて、ところどころ緑の縦筋が入った竹。以前アルゼンチンやメキシコでも同じようなのを見かけたことがある。

ケニアさんに聞くと、すぐに持ち主と交渉してくれて一本伐らせてもらった。
お礼にとその場でかごや指輪を作ってプレゼントすると、ぞろぞろと人が集まってきて、
「次は是非この場所でークショップをやって!」との嬉しいお誘いもいただいた。

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