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『ひらけ!モトム』によせて

2023年5月、広島~江田島 世田谷に暮らす団塊世代の重度身体障害者・上田さんの旅

その3

モトム、故郷に帰る

江田島へ つづき

5月8日(月) 広島:曇りのち晴れ

江田島到着

一足先に自家用車+フェリーで到着していた『ひらけ!モトム』の著者、イワシタさん&パートナーさんと合流。

イワシタさんは、モトムさんのライフヒストリーを聞きとって、江田島でのモトムさんの家族とのくらしや学校生活、島の風景のなかの出来事を、丁寧に『ひらけ!モトム』に書き留めているけれど、その島への訪問は今回がはじめて。

 

じつは6年前、モトムさんは、世田谷の住まいで親しくなったある一家と江田島を訪れている。そのとき、その一家は、本で読んで知っていたモトムさんの故郷の風景を、こんな風にみていたようだ。

「本に書いてあったあの風景だったりとかが、(実際に行ってみて)言葉じゃなくてね、もう絵で蘇ってくるようなところが。」
(上田さんの)お母さんが上田さんの車いすの手を離しちゃって、追っかけて転んだ坂とか、あそこかなあって思ったり。お父さんが花火大会の音から逃げて海のほうまで行ってって。」『ひらけ!モトム』刊行記念トークイベントより)

その坂や海岸をじっくり探す時間は今回なかったのだが、訪ねる場所も、会う人も、ねらいを定めての訪問だ。

港から登っていくと、島らしい風景。ふるい食堂や民家をすぎ、坂をのぼって、江田島市能美町、中町小学校校長室をめざす。

広島県江田島市立中町小学校。

以下、学校の公式ホームページより、沿革の概要:沿革・校区の概要。

「校区にある高田・中町港は,江田島市能美町の中央に位置し,宇品港まで高速艇で 20 分~27 分と交通の便がよく,江田島市の玄関口の一つになっている。また,南東に真道山(286.6m),西に宇根山(能登呂山 542.0m)が連なっている。豊かな自然環境に恵まれ,住みやすいところである。主要産業は,ミカン,トマト,キュウリ,菊,バラ,スイトピー等の農業と牡蠣養殖,いりこ等の水産業が中心である。広島市や近郊の町で働く人が多く,共働きの家庭も多い。中町地区は,児童文学者で童話・童謡雑誌「赤い鳥」の主催者である鈴木三重吉(1882~1936 年)が「千鳥」発刊のために滞在していたというゆかりの地でもある。」

「平成26年度当初に高田小学校と統合した。学校の規模は令和3年5月1日現在,児童数115名,学級数は特別支援学級(2学級)を含め8学級である。地域・保護者の学校教育への関心は高く,地域全体で児童を育てようとする温かく,協力的な地域である。」

 

つづく

モトム=上田 要 うえだ もとむ 『ひらけ!モトム』の主人公、生活史の語り手。1948年広島県(現・江田島市)生まれ。78年より東京都世田谷区に暮らし、86年より24時間介助。自立生活実践中。

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