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『ひらけ!モトム』によせて

2023年5月、広島~江田島 世田谷に暮らす団塊世代の重度身体障害者・上田さんの旅

その0 の つづき

モトム、故郷に帰る

広島到着  編 

5月6日(土)  広島:雨

ここはさらに補足したい。

モトムさんは1979年~80年に東京の障害者の地域活動に出会い、それを担う一人になっていく。そのなかで、車椅子のままリフト移動できる特別車両を導入するより、社会にふつうに動いている公共交通を、車椅子でも使えるようになるほうがよいのだ、と気づくターニングポイントがあった。

公共インフラから切り離された特別な経路を使わなければならないなら、「それって必要悪じゃないですか?」と問いかけられたのが、きっかけだった。その問いを投げたのが、太田修平*さんだ(『ひらけ!モトム』「ある障害者の生活史」参照)。

太田修平さん:モトムさんが入院中にたまたま隣り合わせになったことで交流が始まった。日本障害者協議会の理事兼政策委員長。

「まあ個人的な話なのですが、僕の車椅子の車高が高い(上半身が長い)ので、車に乗車したとき周りが見えないのです。どこをどう走っているのかもわからないので、ドライブしている感覚が楽しめない(泣)」

――あさひタクシーさんの車窓からは見えました? やっぱり見えなかったですよね…

「見えませんでした」

――路面電車からは、見えましたよね?

「はい、よく見えました」

――雨でも頑張って電車移動すればよかった、、、ですね。

「宇品に行くときに見えたので、嬉しかったです」

(〝宇品に行くときの話〟は、追ってご報告。)

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