出版舎ジグ
jig-web 連載

5月編“学校って何だ”ヘッダー画像

14歳からの緊急事態? カエルおじさんと中3ひよこさんの対話

5月編“学校って何だ”

2020年5月5日(火)

今日は5月5日こどもの日です。非常事態が1か月かそれ以上、延びることが確定しました。

まあ、そうなるでしょうね。

あれ? もうちょっとなんか、ありませんか?

なんも感想が出てこない。ちょっと時間がたちすぎて、感覚が麻痺してしまった。

うーん、それってまずくない?

まずいと思うけど。学校から1回電話があったけど、「元気にしてますか。自習してますか」だった。

なんで大人の動きがのろいんだと思う?

……早く動きすぎると批判されるからとか? 先生たちも、上から指示がないとできない、と思っているのかも。

私は大人だから、こういう場合の理由が何なのか、考えるんだけどね。たぶんこんなことだろうと……

どんな?

今、先生たちは生徒に個人的に連絡しにくい。家庭や先生自身の個人情報の問題もあるし、生徒とラインで直接つながると、えこひいきとか、トラブルとか、いろいろ起こりうる。先生が個人の携帯で生徒に電話するのは、やりにくいだろうと思う。

学校から電話したら?

公立学校には、電話回線が少ない。学校の代表電話から全クラス生徒に電話していたら、何日もかかる。校長によっては、「感染防止ですから、先生も学校に来ないでください」「リモートワークです」って指示したかもしれないね。

なるほど…

だから電話はむつかしい。先生が生徒を心配してなくて放ったらかしにしている、というわけでなくてもね。

だけど私立は生徒に電話しているよね。

このあたりは学校とかによって違うと思うよ。学校用スマホをレンタルすればいいとか、すぐ行動できる校長がいるところと、そうでないところがあるとか、思いついても、公立は自治体の教育委員会に予算をつけてもらわないとできない、とか。

それじゃ動けないか……

生徒に電話している公立学校もあるんだから、校長とか先生で自分の工夫で動く人と、動かない人がいるんだろうね。他の人がやっていないのに自分がやってはいけないのではないかとか、他の校長がやっていないのに自分だけやってはいけないのではないかとか、そういう横並び意識っていうのもあるかもしれない。

緊急のときって、社会全体の空気の悪いところとか、浮き彫りになると思うんだけど、まさにそういうことだよね。周りの目を気にしすぎちゃうとか。

うん。だけどぼくは、動けない状態が、たとえば最初の1週間か10日だったら理解できるけど、2か月は長すぎると思う。あなたが先生だったら、どうしますか?

ウチだったら… でも、電話しちゃいけないんでしょ、個人的には。

自分のスマホからは、かけちゃいけないってことだね。

校長に「電話回線、増やせないんですか」、みたいなことを言ってみるとか。

あとは?

学校の一斉メールを出して、それに返信してもらって、自分のクラスの返信状況を見るとか、できたんじゃないかとは思うけど。工夫していいっていう発想がなかったのかもしんない。

それ、どう思います?

うーん、教育委員会とかが丁寧なガイドラインを出してくれていたら、動きやすかったんじゃないかと思う。

文科省は、生徒と連絡をとって下さいねっていう通知を、3月からずっと各地の教育委員会に出していたようです。

そう通知しててもさ、先生が「できないんじゃないか」って思っちゃってたら、進まないじゃん。文科省は、通知したからやってくれると思って、あんまりその後は見ていなかったのかもね。

どうしたらよかったと思う? やっぱりこういうときってさ、クレームだけでなくて、自分だったらって考えなきゃいけないと思うんだよね。あなたが学校の先生だったら?

急にそう言われてもそんな設備もないし、ないからできないじゃんって、あきらめモードかも。

先生から教育委員会に電話して、こういう事情なんですがって言っても良かったんじゃないかと思うけど?悪いことをするわけじゃないよ。

うーん、生徒に連絡できてないって分かっちゃったら、なんか、怒られるかもって思うかも。

でもそのままだと、やんなきゃいけないのにやってない時間がどんどん長くなるだけで、何のいいこともないと思うけど?

えっと、もしかしたら、教育委員会に直接コンタクトできるのが校長先生だけとか?

でもね、ぼくが教育委員会の人だったら、そういう連絡がもし一般の教師から来たら歓迎すると思うよ、それは知らなかった、現場の貴重な情報をどうもありがとう、ってさ。

【14歳からの緊急事態?】連載記事一覧はこちら »

↑

新刊のお知らせ