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難以言喻的香港生活所思 ―香港の現在、言うに言われぬ思い-

翻訳者からのメッセージ
エスター

去年、大学時代から兄弟のように親しくしている同窓生が政府に入り、建制派政党*の党員にまでなりました。報道を知った多くの同窓生は、Facebook や WhatsApp でそのニュースをシェアし、みんなが彼を強く非難しました。

* 建制派:中華人民共和国政府と香港特別行政区政府を支持する香港の政治派閥

何年も親しくしてきたし、下品な言葉を使うことはできませんが、彼を弁護することはできません。他の人が彼について議論している時、私は沈黙を守り、SNSも既読がついたまま無視することしかできません。彼は私のことをずっと気に掛けてくれた人で、腹黒い人とは思えないし、ただお金のためにとった選択だとも思えないのです。彼の性格とこんな道を選んだこととには、合理的なつじつまも合うように感じました。ただ、相変わらず彼の決定には賛成できません。

それが他の同窓生だったなら、私はおそらくその行為を軽蔑するでしょうし、皮肉や当てこすりをする人びとの列に加わっていたでしょう。今も時々、彼と食事したり会ったりしています。でも、あまり知られたくないので、昔やっていたように、一緒にいる彼にSNS上でタグをつけたりはしていません。心の底のどこかでは、彼と仲良くしつづけることは自分の政治的立場と対立する、自分にも他人にもけじめがつかない、と感じています。心を鬼にして敵だと考えて彼を罵るなら、逆にはっきりするかもしれません。

この同窓生のおかげで、私は、自分が親しい人とそうでない人とで態度を変える、ダブルスタンダードの人間なのだと意識するようになりました。これまで私が立場の違いを理由につき合うことをやめた人たちは、そもそも、それほど親しくはなかった人たちなのです。この同窓生とは、あまり縁を切りたくないのです。

政治を語っても、気持ちは損なわれなかった(講政治後沒有傷感情)。それは、私たちの絆が深いからなのか、政治的信念が足りないからなのか。その答えをみつけることができません。

 

■原文■ 譯者的話   Esther

去年,一位大學時期與我稱兄道弟的同學加入了政府,還成為了建制派政黨的黨員。消息傳出後,許多同學立即在 Facebook 與 WhatsApp 分享那則新聞,群起攻之。

相熟多年,難聽的說話我罵不出口,卻又無從為他辯解,在其他人議論他時,只好保持沉默,已讀不回。那位朋友一直待我很好,我不認為他是心腸歹毒之人,也不覺得他此番選擇單純著重金錢利益,甚至覺得以他的性格,走上這條路也很合理。只是,我依然無法贊同他的決定。

若然當事人是其他同學,大概我也會鄙視他的所為,加入冷嘲熱諷的行列。然而,直至今日,我卻仍然會與他偶爾食飯見面,只是不會聲張,沒有再如從前般在社交媒體標記對方。可能是我心底的某處覺得,與他繼續友好似乎與自己的政治立場有所衝突,無法與自己,也沒法與他人交代。能夠狠下心腸如仇人般咒罵他的話,或者反而可以更乾脆。

這個同學令我意識到,原來自己也不過是個親疏有別、雙重標準的人。過去自己因立場不同而不再往來的,本就不是那麼親近的人。到了這個同學,我就不太想絕交了。

講政治後沒有傷感情,是因為感情深厚,還是政治信念不夠,我沒有答案。

 


 

Maruko Chan 
5月35日――存在するはずの日(阿古智子)+ 2020年1月 旺角のとある書店にて(Age.I)

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