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難以言喻的香港生活所思 ―香港の現在、言うに言われぬ思い-

その3 Ching
(中学6年生,18歲 )

今の社会状況では、どこもかしこも無力感だらけです。今は無力でも、社会で何が起きているのか知り、憶えておくならば、今より成熟して有能になった自分が、いずれ社会の役に立つのではないかと思っています。

しかし、政府が報道の自由を次々に管理するようになった今の状況をみると、いつの日か、すべての新聞やラジオは、政府が見せたいと望む香港しか報じなくなるのではないでしょうか。

その時、天安門事件や逃亡犯条例改正案の反対デモが歴史から消えるだけではなく、街のホームレスの生活を知ることすら不可能になります。私たちが見ることができるのは、尖沙咀の眩しい光とGDP指数の上昇だけになってしまう。その時、香港は完全に中国と区別がつかなくなります。

この時代の香港の変動を学生として目撃し卒業したのだから、香港の力になりたい。社会に貢献して、何かを変えるよう頑張りたい。でも、この政治状況は変えられず、絶望はさらに重くなるばかりです。

こんな重苦しい政治の空気の中にいるからこそ、私たちには出口が必要です。闇の中に残された光を見ようとして、映画館や美術展に行くのかもしれません。光が見える人もいれば、一生懸命な人もいれば、あきらめない人もいます。息がある限り、すぐに落胆するべきではありません。

同じ苦しみを抱えている誰かがいることを忘れなければ、苦しみを分かち合い、痛みを和らげることができ、私たちは気持ちを整えることができます。《放逐》のホームレスたちと私たち自身の人生の物語を思いながら、《Nomadland》のヒロインのミニバンに乗って、すべての激しい雨や嵐を乗り切って、あの天地と自由を探すのです。

現在の香港に暮らし、その思いを要約することは、なかなか簡単ではありません。ひとつだけ要約できること、それは、私たちは決して簡単に諦めはしない、という思いで す。

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