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春 待つ こころ 障碍の児の思春期、ノート その6 -2 堀切和雅

ここまで書いてきてやっと気がついた。

この連載は、高校の入学式の光景から始めた。そして高校でも響は仲間を得ていくのだが、高校の時点から時間を遡及するようにそれ以前の生育史について触れると、まるでやがてこうなるのが分かっていて、選択をしてきたようにも見えてしまうようだ。

決してそうではない。

いつも次の瞬間、選択の余地があればその選択が、何を惹き起こすのか、何に繋がるのか分からない時間を子と親は生きてきた。

どの子、どの保護者にとっても、究極的にはそれは同じだろう。
だから、もうしわけないけれど、やっぱり辿り直すことにしてみたい。

響が生まれてから、4歳近くでようやく立って歩き出すまでのことは、『娘よ、ゆっくり大きくなりなさい』*2にある。

これは、2005年7月4日から9月30日まで「東京新聞」「中日新聞」夕刊に連載させていただいた「歩くように 話すように 響くように」がもとになっている。

実は翌年にも「続・歩くように 話すように 響くように」(2006年3月10日~6月10日)というタイトルで、連載をさせていただいている。この部分は書籍などにはなっていない。

連載を促して伴走していただいたのは東京新聞文化部にいらした稲葉千寿さん。
了承をいただいて、次回からその再録をしていきたい。

そこにいるのは幼稚園時代の、響。

 

*2 堀切和雅『娘よ、ゆっくり大きくなりなさい : ミトコンドリア病の子と生きる 』集英社新書、2006年


ほりきり かずまさ はじめ編集者、つぎに教員になり、そうしながらも劇団「月夜果実店」で脚本を書き、演出をしてきた。いまや劇団はリモートで制作される空想のオペラ団・ラジオ団になっている。書いた本に『三〇代が読んだ「わだつみ」』『「30代後半」という病気』『娘よ、ゆっくり大きくなりなさい』『なぜ友は死に 俺は生きたのか』など。

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